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Topics / Photo Essay Vol.58「姨 捨(おばすて)」

姨 捨

姨 捨(おばすて)
 少しの不安や迷いを感じたなら旅に出るといい。一人旅ならば、なおさらいい。
降り立ったのは「JR東日本、篠ノ井線、姨捨駅」駅舎から数分でこの景色に出会える…。
 眼下には棚田が広がりその先には千曲川、そして善光寺平が一望できる。
日本の「原風景」と「近代風景」が面白い位に対比している。畦(あぜ)に腰をおろし民話を思い出していた。
 昔々この地区にひとりの若者が住んでいた。この国の殿様は年寄が大嫌いで「60歳を過ぎた者はこの山に捨てよ」と、おふれを出した。若者は泣く泣く母を背負い捨てに来た。陽はすっかり西に傾いている。
 背中で何かポキポキと言う音がしている。 振り返ると母が小枝を折っては捨てている。
「何をしているの?」と尋ねると「お前が帰り道に迷ってはいけないから」…
そう言って又目印になる木を落とした。若者は母を背負ったまま人目につかぬように夜道を引き返した‥‥
この話は「姨捨伝説」として今もこの地方に語り継がれている。
棚田を渡る優しい風が、「早く山を下りなさい」と私の背中をおした。まるで天国の母の手のように‥‥
by 濱 覚 (2015.5.25)