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Topics / Photo Essay Vol.36「新 地」

新地

新 地
 此処が何処なのか? 写真だけでは、おそらく地元の人でも分からないであろう。
山を背に海側を写しているからだ。
このような風景が「東日本大震災」以後いたる所で見られる…。
私が背にしている山は鹿狼山と言って新地町(しんちまち)のシンボルだ。
福島県沿岸部最北に位置する人口8,200人ほどの漁業と農業の盛んな小さな町…。
福島第一原発から50Kmにあたり、原発の恐怖と風評被害、まだ治まらぬ余震、すべてを失った絶望的境地、
そして報道空白、今もなお、この五重苦は薄らいではいない。忘れ去られつつある町、それが新地町だ。
およそ1年ぶりに訪れた私を迎えてくれたのは、瓦礫が片付いた何もない広大な風景だった…。
手をかざすと青く染まってしまうほどの冬空を背景にして「疲れを癒す生き物のように」重機が止まっていた。
何故かそれに愛おしさを感じ「お疲れ様でした」と声をかけ、手で触れてみた。悲しみが溢れてきた。
 町の名にふさわしい新たな地に蘇えろうと、今、まさに立ち上がろうとしている。
「風をさえぎる物は何もない」
強風が私の車だけをただ揺すっていた‥‥by 濱 覚
(2013.02.27)