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Topics / Photo Essay Vol.35「階(きざはし)」

階(きざはし)

階(きざはし)
 2013年1月14日、東京をはじめ、南関東に初冠雪があった。茅ヶ崎にいた私は仕事を早々に切り上げ、この期を逃すまいと北鎌倉にある浄智寺へと車を走らせた。到着したのは夕方5時。通常ならば30分の行程を、何と4時間も費やしてしまった…。
 浄智寺は、北条氏が栄華を極めた13世紀末頃、創建された臨済宗 円覚寺派に属した由緒ある古寺だ。
 本尊には阿弥陀如来像、釈迦如来像、弥勒如来像がまつられ、三仏はそれぞれ過去、現在、未来を象徴している。
 ひと冬に数回しか降らないこの「天からの贈り物」をカメラに収めるためだけにやって来た。ほんのりと雪化粧した鎌倉石のゆるやかな階段を滑らないようにゆっくりと進む。風が杉木立を揺する。人の気配は無い。禅宗の寺らしい凛とした空気に満ちている。心が浄化されていくような不思議な感覚を感じる。「この階段は人に優しい」
 今、自分はまさに、「きざはし」を歩んでいるのかな?そう思った。
 中国風の鐘楼門(しょうろうもん)がみえてきた頃、いつしか雪は、みぞれに変わり容赦なく折角の化粧を洗い流していく。濡れまいとカメラにかざしたビニール傘が強風に飛ばされた。
 そんな私を声援するかのように、歴史を感じる鐘の音が鎌倉の杜に響いた‥‥by 濱 覚
(2013.01.18)