
黄 昏(たそがれ)
濱名湖は、静岡県西部に位置しており南端は遠州灘に通じている。ウナギ、ノリ、カキ、スッポンなどの養殖が盛んに行われている。水深が深い所でも5m弱と浅いため湖岸は穏やかな砂浜が多い。
夏の太陽が沈み夜の帳(とばり)が降りるころ、湖は本来の静けさを取り戻す。
まだ電気のない時代、夕暮れ時になると、暗くて人の顔が、誰なのかわかりずらく「誰そ?彼」{誰ですか?あなたは}と訪ねていた事が「たそがれ」の語源になったそうである。
『今日の暑さは昨日の寒さを忘れさせる』
冷め始めた湖面は、まるで鏡のように薄紅の大空を写し出す。主の居ない一艘のボートが静かに眠りにつこうとしていた。この旅でようやく絵になる風景と出逢う事が出来た。渾身の一枚を撮るために、ずっと待っていた。いよいよその瞬間が訪れた。水面(みなも)のハイライトからシャドーに至る柔らかなトーンはデジタルカメラでは容易に表現できない。
久しぶりに大型カメラにフイルムを装着して撮影を行った。心がわくわくした。
マジックアワーは何処か違う次元へと人を誘う(いざなう)。ボートの微かな揺れが、まるでユリカゴのように癒してくれる。『闇があるから夢も見る』遠く街の明かりが人の営みを告げていた‥‥by 濱 覚
(2012.07.17)