HOME 会社概要 仕事のご案内 建築・店舗・住宅等の竣工写真、広告写真など、目的に合わせた撮影を行います。

Topics / Photo Essay Vol.27「棚 田」

棚田

棚 田
 山笑う季節、里山の棚田を渡る風が初夏の光と緑をつれてやってきた。大山千枚田は、房総半島のほぼ真ん中にあり、日本で唯一、雨水のみで耕作をしている水田だ。オケラ、カエル、ミズスマシ、…といった多種にわたる生物が生息している。さらに棚田は多面的機能を兼ね備え、これを守る事が洪水、山崩れといった自然災害を防止したり生態系の保全にもつながっている。あぜ道で一人の農婦とで会った。「ここが、有名な千枚田ですか?」と訪ねる私に、日焼けした笑顔と柔らかな眼差しをむけた。「違うわよ!もっと右に行った方」腰を伸ばしながら遠くを指さした‥‥。
 「まあ、ここもその一部といえば、一部だけどネ!」 そう話す彼女の横顔から、永い間の苦楽が忍ばれた、若い頃は、相当、美人だったんだろうなあと思った。
私の自動車ナンバーをみて 「まあ!東京から!」 そう言っておどけてみせた。
 「アクアラインを使えば都心から3時間もかからないヨ!」と、言おうとしたが、止めた。
 と、いうより言えなかった。
 里山で自然と共生して暮らしてきた彼女には、東京は、とても遠い存在に思えたのだろうか?
この美しい景観は住人たちの日々の努力と営みの中で維持されている。太陽が今日もゆっくりと西に傾いて行く。
それに合わせるかのように「ゲロゲロッ ゲロゲロッ」アマガエルの合掌が心地よく里山に響き始めた‥‥by 濱 覚
(2012.05.15)